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春の味覚に関わる事故

すっかり春のお天気となり、過ごしやすい日々が続いております。

 

この季節は、毎年山菜だと思って食べたら有毒植物だったという

 

誤食事故が発生しています。(秋はキノコですね)

 

春と聞いて麗らかな景色ではなく、

 

山菜の事故をイメージしてしまうのは職業病ですね。

 

 

 

 

 

さて、私は何年か前に食品安全委員会の食品安全モニターを

 

させてもらいました。

 

初めてのモニターだったので、初回月に説明会を兼ねた研修会が開かれ、

 

モニター同士で意見交換をしました。

 

どのようなテーマだったかよく覚えていないのですが

 

私は、有毒植物のことを取り上げ

 

『春と秋、毎年のよう有毒植物の誤食事故が発生している。

 

 プロじゃないのに山菜を自分で取って食べてはいけない。

 

 周知徹底すべき』

 

と発言しました。

 

すると、おそらく長野県の方だったと思うのですが

 

そのモニターの方が

 

『山菜やキノコ狩りは毎年の楽しみで、その人だけのお気に入りの

 場所がある。

 生きているうちは家族にさえ場所を教えないという人がいるほど。

 そう簡単に採るなとは言えない』

 

とおっしゃいました。

 

 

私は、そこまでとは!と驚きつつも

 

『事故が起こっているのだからそんな悠長なことは言ってられない』

 

と結果的に受け入れませんでした。

 

 

 

 

それからしばらくして、春に秋田に行くことがありました。

 

路肩に車を止めて斜面を上がろうとする人の多いこと!!

 

歩道には、袋やカゴにたくさんの(おそらく)山菜を入れて

 

闊歩している人も良く見かけました。

 

そして道の駅には

 

東京では見ることのできない様々な種類の山菜が並んでいて

 

買う人も多くいました。

 

この様子を見て

 

例の食品安全モニターさんが言われていたことがようやく腑に落ちました。

 

事故は防止すべきですが

 

『プロでない人が山菜を取って食べることを禁止すべき』

 

という発言は、かなり乱暴だったと思います。

 

春の山菜取りは

 

毎年の楽しみであり、生活であり、もはや地元の食文化ですよね。

 

誤食しないような情報提供のあり方を考えるべきだったと思いました。

 

山菜が生えている山の近くに掲示板を作ったり

 

毎年パンフレットを配ったり。

 

ネットで検索すれば情報は得られますが、

 

 

なかなか事故が収まらないというのは、方法が良くないのだろうと思います。

 

 

東京都のサイト>東京都健康安全研究センター » 山菜と間違えやすい有毒植物の見分け方 (tokyo-eiken.go.jp)

 

 

そして何より、事故の対策を考えるときには

 

発生した状況をよく理解することが大事だなと反省しました。