2022年4月から、加工食品の原料原産地表示がスタートします。
これは、最も使用割合の多い原材料の産地を表示するというものですが、言うは易く行うは難しで、非常に悩ましいルールです。
表示する産地は、国別重量準表示とし、例外として「A国又はB国」あるいは「輸入」と表示できるというものです。この表示のルールを作ったとき「又は表示」や「輸入」については、考え方がある程度整理されたのですが、問題は「その他」の表示です。
その他表示できる場合として、Q&Aでは
(原原-17)複数の原産地の原材料を混合している場合の表示の方法について教 えてください。
1 2か国以上のものを混合した場合は、原材料に占める重量の割合が高いものか ら順に原産地を表示します。
2 3か国以上のものを混合した場合は、原材料に占める重量の割合が高いものか ら順に2か国以上表示し、その他の原産地を「その他」と表示することもできます。
とあり、「2」の表示例として
原材料名 豚肉(カナダ、アメリカ、その他)
と記載されていました。この表示の解釈は、カナダの使用割合が最も多く、次いでアメリカ、そして「その他」にまとめられている国の順であるということが分かります。
別のQ&Aでは
(原原-27)「又は表示」の基本的な表示方法について教えてください。
というQ&Aの例の中で
原材料名 豚肉(カナダ又はアメリカ又はその他)
という表示例が書かれています。ここで疑問に思うのが、
豚肉(カナダ又はアメリカ又はその他) = 豚肉(輸入)
というではないのか?ということです。これがまず1点。
さらに「その他」表示は、あくまで国別重量準表示をしようとしたときに3か国目以降を「その他」と表示してよいというルールであって、重量割合が不明な場合には使えないのではないか、という疑問です。つまり、「又は表示」と「輸入」の表示と一緒には使用できないという解釈が妥当ではないかと思うのです。
私はそれらを確認すべく、以下の事例を消費者庁に問い合わせました。
表示する原材料の使用国は3以上。1位と2位の産地は確定しているが、3位以降は
産地も割合もさまざまである場合
案① ●●(A国、B国、その他)
or
案② ●●(輸入)
結果は、案①だったのです。ということは、「その他」表示は「その他」に該当する産地の使用割合が変動しようがしまいが使える表示であると言えます。
そして、Q&Aにあった
豚肉(カナダ又はアメリカ又はその他)
という表示は、広い意味で「輸入」であるが、細かく調査すると上記のような実績だったから書きました、という企業努力の賜物といえる表示であると思います。
(そもそも私が出した事例は、加工食品の中でも限られた食品の例かもしれませんが)
しかし、悩ましい・・・。
分かりにくいルールは、ミスを助長し、度重なるミスはやる気の喪失、ともすれば偽装につながりかねません。
機会を設けてこのルールの見直しをしてもらいたいです。